経験と技術の融和 手業を支える新たな技術

加賀麩 不室屋は、創業の地・金沢で、開業当時の製法・味・技を伝承しながら、金沢の郷土料理「治部(じぶ)煮」に欠かせない「すだれ麩」をはじめ、焼き麩の「車麩」、手業の「彩り麩」など、伝統的な麩を製造してきました。

製麩は手業に頼る工程が多くを占めます。特に生地づくりでは、気温や湿度の変化で微妙に変化するグルテン(小麦蛋白)など原材料の状態を常に確認し、配合を微調整する必要があります。
近年は、こうした知識や技術を受け継ぎ、より美味しく安全な商品の提供を追及するために、長年蓄積されてきた職人の経験と現代的な設備の融合、それを支える人材の育成を進めています。

一言で新旧の融合といっても、その過程は丁寧な作業の積み重ねが求められます。例えば、職人の感覚、経験値に基づいていたノウハウの数値化に取り組んでいます。
また、生地づくりにおいて、なぜその状態になるのかなどは科学的な分析が必要になり、客観的な視点で作業を見つめ直すことが求められます。

このように、私たちは伝統ある製法・味・技を継承しながらも、新旧の技術を融合させ、新しい技術の導入にも積極的に取り組んでいます。結果として、時代ごとに求められる品質を保つこと、安定した数の商品を供給することを可能にしています。

不室屋では伝統的な加賀麩の認知に努めつつ、社員のアイデアを生かし、世のライフスタイルに合わせた商品の提案にも力を注いでいます。
例えば、湯を注ぐだけで彩り豊かなお吸いものに早変わりする「宝の麩」は六代目当主の母が発案者です。この他、サクサクとした食感が新しいスナック風の麩菓子「おやつ麩」などは、近年新たに生み出した挑戦の成果です。

今後も伝統の麩づくりを受け継ぎながら、時代の変化に目を向け、新たな探求にも力を尽くしてまいります。